あや相談室について

補食

4日目にして久しぶりに口にした最初の食事は、
3分粥と梅干し1コとすまし汁だった。
「え~!?こ、これだけ??」ってめちゃくちゃがっかりした。
でもだからこそ時間をかけて1口1口を大切に噛みしめた。
どれもこれも本当に本当に本当に美味しかった。
梅干しが!お粥が!スープがこんなに美味しいものだったとは!!
神様、ありがとう!食べ物ありがとう!
あああ~、生きているってなんて幸せなことなんだろう!
・・・ってな感じだった(笑)。

断食は摂食障害の治療にはあまり効果がないように思う。
むしろその後にくる反動の過食で更に体を痛めてしまう
恐れがある。でも断食の後の補食の旨さと
食べ物に対する感謝の気持ちは言葉では言い表せない
ほどのものがある。一緒に断食をしていた他の人たちも
みな、それに感動していた。

たったそれだけの食事を私は全部食べることができなかった。
あれだけ苦しみながら食べるのを我慢して痩せたんだ。
食べれば戻る。当然じゃないか!

「もうお腹一杯!」わざとそう言いつつ、毎食、必ず半分残した。
となりに座っていたきみちゃんもそうしていた。
私はそれがむかついてしょうがなかった。
「なんで食べないのよ?」「あんたこそ」「真似しないでよ」
口にはせずとも、互いにそう思っていたように思う。
何でも話せる大切な存在だったけど、同じ病故故に
相手の言動が気になることも多かった。

食べられる幸せと食べ物への感謝の気持ちで心を満たし
お腹の不満をごまかした。
だが空腹で夜は全っく眠ることができなかった。
何が辛いってこれが一番辛かった。
テレビも雑誌もとにかく食べ物の情報ばかり食い入るように見た。
「甘いものが、こってりしたものが食べたいよ~」
日中は断食中と同じように、楽しみながらもよく動いた。
だが食べ物屋の前では必ず足が止まりうろうろしてしまった。

断食中と補食中で違ったのは、食事の時間があったことくらいだった。
ただ食事の時間があるとないとでは、1日の暇さや気分が全然違う。

何もすることがない、したいこともない。
いつ起きてもいつ寝ても良い実家での生活の中で
私は絶えず続く不安と焦りと暇に耐えられず、
食べたくのに・・・と思いながらも
食べ続けるしかなかったのかもしれないなーと思った。

何はともあれ4日間の補食も終え、トータル7キロ減の
体重に満足感を得ながら、一週間のグループ断食終了の日を
迎えた。
さぁ~て、次は山中湖の民宿へいざ出発だ!
まだまだ充分太っていたが、痩せたことで得られた
見せかけの自信が、新たな不安を前にした私に勇気を
与えてくれた。
 

今ほどリゾート化していない伊豆高原で、私は
「~しなければならない」という自分で決めた自分だけの法則から
逃れることができた。毎日が笑顔だった。これは断食のお陰だけでは
ないと思う。
これに健康的な食生活をプラスできさえすれば、私はきっとこの
場所で摂食障害を克服できるだろう。
そんな漠然とした思いが、けれどずっと頭の隅っこに残っていた。

私は2年後にまたここに戻ってきた。今度はこの保養所で
働く為に。

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