あや相談室について

読経

前回の断食は、断食そのものよりも、伊豆の水や人の温かさに
触れて癒されたひとときだった。
もちろん断食にかける私の意気込みもすごかった。

でも今回の断食は行く前から体がイヤだ!とダダをこね
それでもこれにいかないと先に進めない!と
浮腫んだ顔と重い足を引きづりながらなんとか向かった
田舎のお寺だった。

この古くさいお寺で約20人の人たちと一緒に一週間の断食と
3日間の補食を経て帰る。
ただし、ここではお風呂には一度も入れない。
くそ暑い8月の上旬にただただするのはお経をあげることだけ。
とにかくヤブ蚊がすごくって、蚊に好かれる質の私は
全身喰われまくりだった(涙)。
朝は6時に起床、夜も6時に消灯。そんなに眠れるかっつうの!
主催は毎年ここで夏に断食を兼ねた座禅会をしている鍼灸師の
先生とそのお弟子さんたちだったと記憶している。
彼らには監視されているようでむかついた。
何でも分かっているんだよ!という態度がいやだった。

ある時、一人のお弟子さんに勇気を出して摂食障害に悩んで
いることを告げたら、彼はいきなり立ち上がり
「あなたの心は病んでいる。これ以上私と話していても
意味はないだろう」と言われた。
カーっとなった。前のバイト先でいわれた二人の男性の
言葉も思い出してしまい、私はものすごい勢いで怒鳴った。
「私の気持ちなんて誰にも分からないんだ!
だったら何でも分かっているような顔しないでよ。
辛いから勇気を出してあなたに話したのに。もういいよ!!」

でも彼の察した通り、その時の私の精神状態は最悪だった。
だからだと思うが、痩せたくて参加している人たちのことも
気になってしょうがなかった。
「○さん、痩せているじゃないですかぁ。これ以上痩せる
必要なんてないですよ」と太ったおばさんに言いながら
「断食しても家に帰ったら9割の人が反動で過食しちゃうん
だって」「こんなところで断食していてなんか意味があるのかな」
「早く帰りたいと思いません?」
「あのお弟子さん、ちょっと頭おかしいみたいよ。だって
私がここでも不満をちょっと話しただけで切れちゃったんだよ。
最悪じゃない?」とか。まー、真実ではあるんだけど
私の陰のパワーを毎日周りに振りまいていたせいか
(絶対そのせいだと思う)なんと3人の人が本当にリタイア
してしまったのだ。
驚いた鍼灸師は「こんなことは20年間続けていて初めてだ」と
憤慨していた。
私は「私のせいだ」と思いながらも「やった!これで
ライバルが減ったわ」と心で笑った。
誰が痩せようが太ろうが私には関係のないことなのに。
でも少しでも多くの人が太ってほしかった。少しでも
多くの人が痩せないでほしかった。
自分が辛くなると世界中の人を不幸にしたくなった。
ひどい話だと思う。でもこれが私だった。

一週間の断食中、良かったと思えたことは1つだけ。
それはお経を読むことだった。木魚の退屈な音に合わせて
朝から晩までただただ読み続けるお経。
これしかやることがないからしかたがない。でも最初は
全然読めなかったお経も帰る頃には見なくても唱えられる
までになっていた。
初めて手にした経本はいつしかボロボロになっていた。
イライラしても鬱々しても、もう誰とも話したくなかった。
きっとみんな、私のこと変人だと思っているだろうし・・・。
あるのは経本だけだった。
だから仕方なく読んでいたんだけど不思議だった。
お経を読むと何故か泣けてくるのだ。そして流した涙と
共に心がスッキリした。

度忘れしちゃったけど、あの頃の気持ちを思い出すと
またお経を読んだり書いたりしてみようかなって気持ちになる。
あれらは瞑想に似ている感じがする。
自分の心の奥底に眠る深い意識に問いかけるような
心地よさがある。
そうそう、先日テレビで、今若い女性に写経が流行っていると
言っていた。ほんとかよーっ(^-^;)とも思ったけど、
何事もやってみれば分かる。あれは結構奥が深い。

これ以上得たものも失ったものもなく、ヘロヘロな状態で
家に帰った。痩せたかどうかも分からなかったが
着てきた服は全てゆるゆるだった。

明日からの1ヶ月間は熱海のリゾートホテルでのバイトが待っている。
はぁー。
もちろん帰る車内、道、自分の部屋で止むことなく過食した。
断食後の体の回復や補食の重要さを知っていたので
胃が破裂しやしないかと不安にも思ったが、
鉄でできているんか?と思うほど丈夫な私の胃は
過食してもなんともならなかった。
喜ぶべきか悲しむべきか・・・。
かくして私の2度に渡る断食はやっとのことで終わった。
もう2度とやりたくない!っうか、ここには2度と来たくない!
そう思った。

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